ケンブリッジ英語検定とは
2020年度から大学入試センター試験に替わってスタートする共通テスト。この新テストの英語では、従来のような一斉テストを実施せず、大学入試センターの認定を受けた民間業者の資格・検定試験(認定試験)のスコア等を合否判定に活用する方針が示されました。文部科学省がこれまでに発表した資料などから、採用候補と言われている民間試験に「ケンブリッジ英語検定」があります。ケンブリッジ英検は世界の多くの企業でも導入され、EU諸国では最も認知度の高い英語試験となっています。日本でもケンブリッジ英語検定試験を重要視する大学や企業が増えており、「もし日本で普及すれば日本人の英語力は劇的に向上する」とまで言われているようです。
その理由は、リスニング・リーディングに加えてスピーキング・ライティング・文法によって、より正確な英語力を計ることのできる英語試験だからです。「一度取得すれば生涯有効」ということもその質の高さをよく表しています。
「ケンブリッジ英語検定試験の合格を目指す=本当の英語力が身につく」ということでもあります。
TOEFLなどと比べると日本ではまだまだ知名度の低い検定試験ですが、海外では注目度の高いケンブリッジ英語検定。ケンブリッジ英語検定について概要や特徴などを見ていきましょう。
ケンブリッジ英検は、イギリスの名門・ケンブリッジ大学の一部門で、非営利組織であるケンブリッジ大学英語検定機構(Cambridge English Language Assessment)が開発・実施している国際通用性の高い英語能力認定試験です。ケンブリッジ英検の試験は世界トップレベルの言語研究者チームによる大規模な研究に基づいて開発されており、実生活の様々な状況でのコミュニケーションにおいて、どのように英語4技能を使うことができるかを評価できるように設計されています。
さらに大きな特徴としては、生涯にわたって英語を学習する視点で作られていることが挙げられます。幼児・小学生から成人学習者まで、定着を確認しながら段階的に次のレベルへとステップアップする構成となっており、実践的な英語運用能力を伸ばせるような設計となっています。
また、ケンブリッジ英検はすべての試験がヨーロッパ共通参照枠CEFRに準拠しています。CEFRの開発に同機構が深く関与した歴史的経緯から、他の英語運用能力試験と比べてもCEFRとの整合性が高い試験内容です。
CEFRが言語コミュニケーションのレベルとして設定しているA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階すべての能力を測定することが可能で、学習者の進路や目的に応じて、レベルに適した試験をCEFRに照らして選択することができるようになっています。
一般的な英語の試験は「Key:キー」、「Preliminary:プレリミナリー」、「First:ファースト」、「Advanced:アドバンスト」、「Proficiency:プロフィシエンシー」の5段階のレベルから成ります。「Key:キー」はもともと日本の高校生を対象に作成された試験で日本の学習指導要領とも高い親和性が見られますが、2009年以降、「Key:キー」、「Preliminary:プレリミナリー」、「First:ファースト」に中高生対象の「フォー・スクールズ」シリーズが加わり、さらに効果的な学校教育との連携も可能になっています。
基礎レベル | Key English Test(KET) | TOEICで約520点、TOEFLで約400点レベルPET(初級)の半分の語学力にあたるもので、日常生活で必要な最も基礎的なコミュニケーション力を測定。 |
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初級レベル | Preliminary English Test(PET) | TOEICで約630点、TOEFLで約480点レベル簡単な日常会話に参加できるレベルの英語力があるかどうかを測定。 |
中級レベル | First Certificate in English(FCE) | TOEICで約760点、TOEFLで約550点レベル最も受験者が多いレベルで、中級レベルの英語能力を証明する試験として世界的に有名。中級英語を使って、仕事や留学を目指す人用。 |
上級レベル | Certificate in Advanced English(CAE) | TOEICで約870点、TOEFLで約610点レベル仕事で英語を駆使できる上級レベルの英語力があるかどうかを測定。英語圏の多くの大学では、入学時に必要な英語力の証明としてCAEを採用している。 |
最上級レベル | Certificate of Proficiency in English(CPE) | TOEICで約990点、TOEFLで約670点レベルネイティブレベルの英語能力があるかどうかを測定。英語圏の大学で、入学時に必要な英語力の証明として採用している他、世界各国の各機関で認められている。 |
ケンブリッジ英検のテストでは、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの英語の4技能が測られます。スピーキングを除く3技能はコンピューター版テストとペーパー版テストの両方がありますが、日本では現状コンピューター版テストを扱う試験センターがないため、国内で受検できるのはペーパー版テストのみとなっています。スピーキングテストは、すべてのレベルで受検者2名がペアとなって行う対面式テストの形式となっており、受検者同士のその場でのやりとりを評価の対象に含めるなど、単に英語が発話できるだけでなく、英語でコミュニケーションできることに重点が置かれています。
種類 | 時間/配点 | パート数/問題数 | 問題の形式 | テストで測定されるスキル(出題意図) |
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リーディング&ライティング | 1時間10分/配点:全体の50% | 9パート/56問 | パート1~8はマーク式、パート9は記述式 | 標識や看板、新聞や雑誌などのような簡単な文章を読んで理解する力。短いメモやメールなどを書く力。 |
リスニング | 約30分/配点:全体の25% | 5パート/25問 | すべてマーク式 | 長短の会話やアナウンスなどを聞いて、重要な情報を正確に聞き取る力。 |
スピーキング | 約8~10分/配点:全体の25% | 2パート | 受検者2名のペアによる対面式 | 自分のことに関する質問に答える力。簡単な問いを相手に投げかけたり答えたりして、対話をする力。 |
種類 | 時間/配点 | パート数/問題数 | 問題の形式 | テストで測定されるスキル(出題意図) |
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リーディング&ライティング | 1時間30分/配点:全体の50% | リーディング:5パート/35問 ライティング: 3パート/7問 |
リーディングパートはすべてマーク式 ライティングパート1はマーク式、2~3は記述式 |
様々な文章を読み、要点や詳細情報を読み取る力。適切な語彙や文法を使って、短いメッセージや100語程度の非公式の手紙もしくは物語を書く力。 |
リスニング | 約30分/配点:全体の25% | 4パート/25問 | すべてマーク式 | 短文テクストや長い会話文・モノローグなどを聞き取る力。話者の態度や意図を識別する力。 |
スピーキング | 約10~12分/配点:全体の25% | 4パート | 受検者2名のペアによる対面式 | テーマについて意見を交わし、議論する力。写真を見ながら長時間説明をする力。 |
種類 | 時間/配点 | パート数/問題数 | 問題の形式 | テストで測定されるスキル(出題意図) |
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リーディング&文法・語彙 | 1時間15分/配点:全体の40% | 7パート/52問 | すべてマーク式 | 様々な文章を正確に読解する力や、すばやく概要をつかむ力。豊富な文法や語彙の運用力。 |
ライティング | 1時間20分/配点:全体の20% | 2パート/25問 | すべて記述式 | 正しく内容を伝えるための文章を、適切な文体で書く力。 |
リスニング | 約40分/配点:全体の20% | 4パート/30問 | すべてマーク式 | ニュース番組や日常会話などを聞き、概要や特定の情報、話者の意見や態度、感情などをとらえる力。 |
スピーキング | 14分/配点:全体の20% | 4パート | 受検者2名のペアによる対面式 | 発音、文法および語彙の駆使力。自分の意見をまとめる力、議論に参加する力など。 |
種類 | 時間/配点 | パート数/問題数 | 問題の形式 | テストで測定されるスキル(出題意図) |
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リーディング&文法・語彙 | 1時間30分/配点:全体の40% | 8パート/56問 | すべてマーク式 | 複雑な文章を読んで、構成や内容、トーンなどを正確に読解する力。語彙や文法の運用力。 |
ライティング | 1時間30分/配点:全体の20% | 2パート | すべて記述式 | 正しく内容を伝えるための文章を、適切な文体で書く力。 |
リスニング | 約40分/配点:全体の20% | 4パート/30問 | すべてマーク式 | インタビューやラジオ放送などを聞き、概要や特定の情報、話者の意見や態度、感情などをとらえる力。 |
スピーキング | 15分/配点:全体の20% | 4パート | 受検者2名のペアによる対面式 | 発音や文法、語彙力のほか、自分の意見をまとめる力、議論を始める力や持続させる力、交渉して結論に達する力など。 |
種類 | 時間/配点 | パート数/問題数 | 問題の形式 | テストで測定されるスキル(出題意図) |
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リーディング&文法・語彙 | 1時間30分/配点:全体の40% | 7パート/53問 | すべてマーク式 (パート1~4:文法・語彙問題/パート5~7:読解問題) |
語彙や文法知識のほか、様々なトピックの文章を正確にすばやく読みとる力。 |
ライティング | 1時間30分/配点:全体の20% | 2パート | すべて記述式 | あるトピックについて自分の意見をまとめ、エッセイや報告書など様々なタイプの文章を適切な文体で書く力。 |
リスニング | 約40分/配点:全体の20% | 4パート/30問 | すべてマーク式 | 講義やスピーチ、インタビューなどを聞き、概要や特定の情報、話者の意見等をとらえる力。 |
スピーキング | 約16分 /配点:全体の20% | 3パート | 受検者2名のペアによる対面式 | 発音、抑揚、発話のスピード。自分の意見をまとめる力、議論を持続させる力、交渉力など。 |
ケンブリッジ英検の受検者には、下記の情報が記載された「結果ステートメント」が送付されます。また、合格者には「認定証」が発行されます。ファースト、アドバンスト、プロフィシエンシーの場合、認定証には英国の学習成果・職業能力の認証・評価制度「英国資格指標 (NQF:UK National Qualifications Framework)」のレベルも記載されています。
※2 スコアは80~230で表示
(スコアや合格グレードの詳細は下記ページをご参照ください)
【参考ページ】:http://www.cambridgeenglish.org/jp/images/183107-page2_4_scale-scores.pdf
国際業務に携わっている現役のビジネスパーソン、約7,000人を対象にしたアンケート調査の結果、「実務で必要な英語力はどのぐらいか」という問いに対して、ヨーロッパ共通参照枠CEFRで、「できればC1(ケンブリッジ英検のCAEに相当)、少なくともB2(ケンブリッジ英検のFCEに相当)は必要」と回答されています。
したがって、「仕事で使える」ことを目標にする方の多いケンブリッジ英検の受験者は、通常、目標をFCE(CEFR B2)レベル以上に設定します。
CEFR B2~C2が、「仕事に使える英語力」として認められる最低レベルです。実はこのB1レベル、日本人に一番多い「初級者~中級者で留まっている層」に当たります。
上記に当てはまる方が多いのではないでしょうか?
これはB1レベルの特徴です。B1のすぐ下のA2が、挨拶や日常会話、しかも定型的なものをこなせれば十分であるとしているのに対して、B1はA2の会話がもっと長くなってもこなせる必要があり、日常英会話では自分の言いたいことをきちんと伝える能力が求められます。
このように、B2の特徴はB1と較べて大きな差があります。「たどたどしい」とか「しどろもどろ」という程度では落第。これだけできてなんとか仕事で使えると認められます。またB2は、EUの大学が留学生として受け入れてくれる場合の最低ラインでもあります。
ケンブリッジ英検では、現在の英語力から「英語できます」と言えるようになるまでの距離をはっきり知ることができ、そこに向けてどう学習すればいいのかを明確にできます。これはケンブリッジ英検の大きな特徴であり、一旦目標が決まったら、あとはコツコツ積み上げるのが得意な方にはピッタリの資格です。
もちろん日本でも受験できるので、帰国後も継続して英語を学習したい方にとっては、今後一貫した目標設定のもと学習を続けられる安心感もあるでしょう。これから留学する方で英語を第一の目的とする方なら、まずはケンブリッジ英検を目標に据えてみることから始めるのをおすすめします。
英語資格取得が目的の英語学習ではなく「目標に向かう過程で英語力が伸び結果として合格する」それがケンブリッジ英検です。したがって、基本的に試験範囲が存在しません。
例えば、ケンブリッジ英検のスピーキングは、日本の英検と異なり、会話的な手法がとられます。通常2人のネイテイブスピーカーが2~3名の受験者に対し、15分~20分かけて丁寧に行われます。試されるのは、自由に表現する能力、パートナーとのコミュニケーションを通じた臨機応変な会話力です。
あえて本物のスピーキングを行い、さまざまな基準から会話能力を測定するところにケンブリッジ英検の特色があると言えます。
このページをご覧になっている皆様は、すでにいろいろな方法で英語が使えるようになる努力をされてきたと思います。しかし「こうすれば大丈夫!」という道標を見つけられず、いつ終わるともわからない勉強の日々に迷い、途方に暮れたことはありませんか?
レベルに応じて必要な知識とスキルを見極め、目標に向けて道筋を描くという作業が学習の王道なら、決してぶれない明確な目標として、ケンブリッジ英検は最適です。
FCEの次はCAEそしてCPEとクリアできたら、もうあなたにそれ以上の資格は必要ありません。英語だけでなく他の言語にすすむも良し、また語学だけでなく他のさまざまな分野にチャレンジしていきましょう。
ケンブリッジ英検は、ケンブリッジ大学英語検定機構の審査によって認められた認定試験センターで受検することができます。世界130カ国以上に約2,800を超える認定試験センターがあり、それぞれの国や地域の状況に応じて試験日、試験実施回数が決まっているため、受検を希望する場合は各試験センターに直接問合せ・申し込みを行う必要があります。なお日本には11の認定試験センターがあり、各センターで年に2~3回実施されています。
(認定センター試験は下記の公式サイトのページから検索できます)
【参考ページ】:認定試験センターを探す|Cambridge English
ケンブリッジ英検に関するその他の詳細については、以下のウェブサイトに掲載されています。
【参考ページ】:ケンブリッジ大学英語検定機構の日本語公式サイト