- お知らせ
- 2022.11.8
枚方市立五常小学校がケンブリッジインターナショナルスクールNisaiのUnits of Soundプログラムを試験導入開始!
枚方市立五常小学校(大阪府枚方市)では、教科化された「外国語」に対応するため、ケンブリッジインターナショナルスクールNisaiのUnits of Sound プログラムの試験導入が決定いたしました。2022年度は3学年の子ども(希望学年)を対象にプログラム提供を行い、子どもたちの英語力育成および普段の英語教育への効果を測定します。
Units of Sound はイギリス国内で7歳から使用されている英語力育成ツールです。すでに日本の各学校で取り組まれている漢字ドリルや計算ドリルと同じように、自宅や授業の隙間時間でも手軽に取り組めるのが特徴的です。
「躊躇せずに行けるとこまで突き進んでほしい」という願い
子どもたちが中学校で困らないように、小学校でできる限りのことをやっておきたい
Nisai:導入のきっかけを教えてください。
榊 校長:新しい学習指導要領で、小学生の子どもたちが中学校に上がった時に学習内容のギャップが大きいということに危機感を持ったことがきっかけです。
子どもたちの英語力向上を目的として学習指導要領が改善されたわけですが、スタートしたばかりの時期なので、そのギャップが子どもたちに対して「あまり良い方向にいかない可能性がある」ということが、だんだんわかってきました。
そのギャップを埋めるために小学校で準備をしておかないと、子どもたちが中学校に行ってさらに困るというのが正直なところです。
Nisai:導入する時の課題や壁などはありましたか。
榊 校長:壁は二つありました。
一つは実際に指導をする先生たちの理解を得ることです。Units of Soundプログラムが必要となる理由も含めてしっかりと理解をした上で指導に臨んでいただくことが重要です。そうすると、先生はチューターとしての役割をしっかり果たして、どんどん子どもたちが伸びていくということになります。
もう一つは費用面です。公立の小学校なので予算が限られていますし、保護者の理解も得る必要があります。小学校から中学校に上がった時のギャップの問題が導入のきっかけですが、それを乗り越える効果が出れば、保護者にも子どもたちにも喜んでもらえるので、実際に効果を出して納得してもらうことが重要になると考えていました。
教師側の予想を超える子どもたちの吸収力に驚きました。
Nisai:導入後の子どもたちの変化について具体的に教えてください。
榊 校長:子どもたちが予想以上にプログラムに順応していたことに驚きました。五常小学校の地域ではご家庭で英語学習に力を入れておられるところも多くあり、それぞれの英語経験に違いがありますので、もちろん「難しい」と思う子も中にはいるかもしれません。しかし、それでも多くの子どもたちが興味を持って「やってみよう」と自主的に学習を進めています。ある程度は予想していましたが、ここまで吸収して「自分で学ぶ」という姿勢でやってくれたことには驚きましたし、今後も期待しているところです。
「できた」という経験が大きな変化を生んだ
Nisai:子どもたちが変化できた理由はなんでしょうか。
榊 校長:導入の際に、目的やゴールを明確にしたことではないかと思っています。「なぜこれをやるのか」「これをやったらどうなるのか」ということを最初に子どもたちにきちんと示しました。子どもたち自身もイメージはしていたと思いますが、中にはあまりイメージが湧かないという子どもたちもいましたので、最初に子どもたちにゴール像を描けるように説明したのが良かったと思います。
もう一つはこのプログラムが徹底してNo Japaneseだったことです。英会話スクールでも授業の中で日本語を使うことはあると思います。しかし、Units of Soundではすべてが英語なのですごく新鮮でした。子どもたちも最初は不安に思っていたと思いますが、「意外とこれでもいける」と思ったときに子ども達の自己肯定感も出てきたのだと思います。「すべて英語でもできた」という経験がやはり大きいなと思います。
まずは子どもの能力を信じてやってみることが大事
Nisai:今後、子どもたちに期待していることは何ですか。
榊 校長:躊躇せずにできるところまでどんどん進めてほしいということです。Units of Soundは一人一人のレベルに合わせて進められるので、「みんな同じスピードで進まなくていい」ということなんですよね。先に進める子はどんどん進んで、サポートが必要な子は先生がサポートする形で進められるので、進める子はどんどん進んでいってほしいなと思っています。今後も子どもたちの進歩を見守っていきたいところです。
Nisai:最後に現在までの感想をお願いいたします。
榊 校長:導入の際に手厚いサポートをしていただいて、しっかりやれば子どもたちは能力があって進んでいけるということが分かりました。どの学年だからできるとかできないとか、どの学校だからできるとかできないとかではなく、まずは子どもの能力を信じてやってみることが大事だと心から思いました。
今以上に、子ども達にとって良いものが少しでも使えるのであればと思いました
Nisai:導入のきっかけや子ども達の背景を教えてください。
元橋 教諭:今以上に、子どもにとって良いものが少しでも使えるのであればと思ったことがきっかけです。導入のハードルがそれほど高くなかったことと、システムについてそこまで勉強する必要もなかったので「やれるのであればやってみよう」というスタートでした。
Nisai:ハードルがそんなに高くなかったということですが、もう少し詳しくお聞かせください。
元橋 教諭:私の意見ですが、教師が準備することが多ければ多いほどハードルが上がっていきます。色々な教科がある中で英語だけに全集中できるわけではありません。自分がしなければいけない仕事の量と、子どもに与えられるメリットの大きさを考えたときに、とてもパフォーマンスが良いものだと判断しました。
もちろん初めはサポートも必要だとは思いますが、継続していけば徐々に子どもたちに任せられるようになります。すでに取り組んでいる漢字ドリルとかその他のドリルと同じように自分たちで取り組んでいけるというシステムなので良いと思いました。
森 教諭:タブレットで子どもたちが好きな時にログインして学習ができるので取り組みやすいと思います。人によっては毎日続けることが難しいということもありますが、宿題でたまに出したりとか、授業の中で使ってみたりしています。そういう動機づけもある中で「やろう」と取り組んでいる子どもたちの数も、私のイメージよりも多かった気がします。
子どもたちそれぞれに専用ページがあり、進捗状況が分かるのも良かったと思います。Nisai Japanの方が来られて「一週間たってどうなったかな、使ってどうなったかな」とみんなの結果を子どもたちと一緒に見て、「増えてる!」とか、それに対して「おお!」など進捗状況を共有する場面がありました。たくさん進んでいる子を見て「すごいなあ」とかいう反応が見られたのも子どもたちにとってすごく刺激的で良かったです。
カリキュラムマネジメントの難しさ
Nisai:導入する時の課題や壁などはありましたか。
森 教諭:英語に限ったことではありませんが、「やる子はやる」「やらない子は放っておいたらやらない」というところです。取り組めていない子に対しては「ちょっと後押しして欲しい」というふうに言われたことは、教師としては少ししんどいところではありました。正直なところ、授業の中で使う場面を創り出すのも難しかったです。
元橋 教諭:導入の際のハードルはいくつかあります。
一つ目は支援の部分です。Units of Soundプログラム自体はとても良いものだと思いますが、どの学年も元々のカリキュラムが時間割を埋めてしまっているので、そこにはめ込んでいくというカリキュラムマネジメントはやはり難しいです。現状絶対にしなければいけないカリキュラムではないので、子どもたちには「しんどくなってまではしなくていい」という前提で安心感を作り、「将来を広げていけるから頑張りたい人はぜひ頑張ってね。」と伝えています。
二つ目のハードルは、Units of Soundの特徴や使い方をある程度把握して、子どもに投げかけていく必要があるというところです。また自分で進めていくのが難しい子どもへの支援が特に難しいと感じました。Units of Soundについて知って、子どもたちが自主的に取り組んでいけるようになるまでの部分が壁として大きいのではないかと思います。
前より聞き取りにくい単語が聞き取れるようになった
Nisai:導入した後の子どもたちの変化などがあれば教えてください。
元橋 教諭:子どもたちが、「L」や「N」などの聞き取りにくい音を前より聞き取れるようになりました。JTEの先生は「フレーズが入りやすい」とおっしゃっていました。最後のパフォーマンステストではほぼ全員がAとなり、その変化や成果にとても驚かれていました。
また、英語に触れる機会が増えたことも変化の一つです。これまでは、何か課題が終わって隙間時間ができた時に、取り組むことの選択肢が漢字ドリルや計算ドリルだけしかありませんでした。その中に英語という選択肢ができたのは大きいと思います。
今では早く課題を終わらせて、イヤホンをしてUnits of Soundトレーニングに取り組んでいる子どもが増えました。インプットする機会は確実に増えたと思います。
ゲーム感覚で学べるところが、子どもが好きになる要因
Nisai:この変化が起きた理由は何かありますか。
森 教諭:
Nisaiの方に来ていただいて、「みんな今の状況はどうかな」と進捗を確認し、子どもたちそれぞれで差があるということを知ったことではないかと思います。たくさん進めている子にフォーカスして「すごいね」と言った後の変化はすごくありました。
自分たちの成長や、Reading・Spellingのトレーニングの次のステージが見えることで、人によっては「攻略したい!」という思いが出てくると思います。ゲーム感覚で学べるところが、Units of Soundを好きになる要因でもあると思います。
子どもにとっては目先の「楽しい」が続いた先に「英語が聞こえるようになっていた」というのが理想的だと思います。私たち教師はそこを目指してあげるべきだと考えています。
元橋 教諭:
Nisaiの方が必要に応じて入ってくださることも大きな要因だと思います。私が英語について褒めてあげる効果と、英語のプロであるNisaiの先生が直接「すごいね」と言ってくれることの効果が違い、よりモチベーションが上がっているのではないかと思います。
英語のプロの方から直々に「前よりReadingが伸びている」という具体的に言ってもらえた日からの変化はとてもすごかったです。
また、課題をクリアするごとに☆のマークが埋まっていくのですが、「もう1つ☆を増やしたい」と思ったり、同じようにスタートした子が自分より先に進んでいたりすることで、刺激になったり切磋琢磨したりできる環境が良かったと思います。
子どもたちがゲーム感覚で学べることも、伸びる理由の一つだと思います。子ども達の感覚だと、「☆を増やしたい」「ここまで☆を埋めたい」と進めているうちに、気が付けば英語の力が伸びていったような感じだと思います。
また、プログラムの仕組みを一度にすべて説明するのは難しいですが、慣れてきたころに子どもたちから「どうすれば次のトレーニングに進めるか」という質問があった時に、実は10問中8問正解すれば次のトレーニングが開くということを伝えると、子どもたちのモチベーションもさらにアップしたので、伝えるタイミングも良かったと思います。
Nisai:Spellingに熱中している子どもが多いとのことですが、なぜでしょうか。
元橋 教諭:私のクラスはReadingよりSpellingのトレーニングに熱中している子どもの方が多いです。おそらく、隙間時間に取り組む場合、声に出して読むReadingだと周りに遠慮してしまいますが、自分で聞いて打つSpellingだと一人で完結して、周りに影響もないのでやりやすいのだと思います。
Nisai:今後、子どもたちに期待していることはありますか。
森 教諭:
最終目標は聞き取れるようになることです。英語を聞き取れて、Spellingでも単語が分かると、中学校英語に繋がっていくと思います。
また、できれば自分たちの力で頑張れるのが一番だと思います。これは英語だけではなく、全てにおいて言えることだと思います。せっかく学校に来ているので、他の子と声をかけ合いながらお互いに切磋琢磨できればより良いのだろうと考えています。そのような環境の中で成長していってくれることを期待しています。
元橋 教諭:三段階ぐらいあると思いますが、英語のスキルの面ではまず発音だと思います。私も実際、子どもたちの前で「that」と言って、「それは違う」と子どもに言われたことがあります。私自身は何が違うがわからなかったのですが、「舌を噛む」というのを子どもたちと一緒に勉強して、そこから「that」の発音が良くなりました。
発音の違いに気がつくと面白くなってきます。わからないまま発音していても分からないままだと思います。そこに「気付く」という要素があれば意識してトレーニングができるので、そうやって学習するのが楽しくなっていけばと願っています。
二つ目は将来的な選択肢です。私が中高校生の時は、将来の進路相談の中で「どこに行きたい」とか「大学はどこが行きたい」「将来の仕事は何がしたい」と相談したときに、英語という選択肢はなかったです。
そこに英語という選択肢が増えると、一気に海外に出られるので人生が面白くなるだろうなと思います。私もありがたいことに、働きだしてから海外を回ることもできました。やはり自分の世界や人生が広がっていく感じが楽しいですよね。
素材は何でも良いので子どもたちが何かに熱中できることがあって、大人の手を離れたときにそれぞれの中で将来の選択肢の幅が広がっていったら良いかなと思います。
三つ目は、小学校は担任の先生と一緒にいる時間が長いので、先生の色に染まっているところがありますが、Nisaiの方も含めて色々な大人が入ってくれて、様々な刺激があって「あの先生はこう言うけど、この先生はこうなんだ」と違う価値観にふれていく。そのように多様な価値観に触れていくことで、自分の将来の選択肢を増やしてくれることを期待しています。
「この子たちにはもっと外の世界に出てほしい」という願い
Nisai:まとめとして、感想を教えてください。
森 教諭:外国の人と話をしたときに「やっぱり喋れるっていいな」と思ったことがあります。たどたどしくても頑張って話して、そして海外の人と通じ合ったときは嬉しいですね。
その嬉しい気持ちや相手の気持ち、文化に触れた時にわかるこの嬉しさは、実際に喋ってみないと感じられないことだろうと思います。聞き取って、自分の中に落とし込まないとわからない感覚だと思います。
そこに自分ですら行けたわけですから、この子たちにはもっと外に出ていってほしいなという思いがあります。最終的にそこに到達してもらうためにも「今、自分たちができることをして、少しでも後押しができたら」と考えています。
元橋 教諭:感想は「ありがたい」の一言です。自分たちだけではここまで子どもたちに英語の機会を作ってあげることもできなかったですし、その英語についての刺激を与えることもできなかったと思います。このようなプログラムがあって、人がいてくれて、機会があると、自分一人でできなかった教育がたくさんできていくのだと実感しました。
私の中では、「人は知らないことに対しては絶対そこまで考えが及ばない」と考えています。「知っている」ことでさらに想像が広がり、想像ができると選択肢の幅が広がっていきます。
そういう選択肢が広がったことはすごくありがたいことだと思います。何と言ってもこっちが慣れてくると、ドリルのように子どもたち自身で取り組むことができるので、ありがたいです。これだけの労力で、こんなに子どもに与えられることが大きいというのはすごく貴重だと思っています。今後どうなっていくか楽しみです。