- 小学生
- 2026.10.30
帰国子女の英語、高学年はどう伸ばす?中学までの3ステップ

本ページでは以下のことがわかります。
高学年の帰国子女の英語は、帰国前後に英語力を測り、英語で教科を学んで読み書きを伸ばし、小6で英検で確かめる3つのステップで、中学入学まで伸ばし続けられます。
・高学年で帰国した子の英語が保ちやすい理由と、それでも落ちていく理由
・小学校と中学校の英語の授業の違いと、日常会話と教科を学ぶ英語の違い
・帰国前から中学入学前までに取り組む、時期別の3つのステップと進め方
・英検とアカデミックな英語の役割と、高学年に合った無理のない配分
・学校の英語が簡単すぎる、受験と重なるなどのつまずきへの対処法
高学年の帰国子女の英語は、中学入学までの手順を決めれば伸ばし続けられる

「小5で帰国するけれど、中学までに英語を落とさず伸ばせるだろうか」と考える保護者は少なくありません。結論から言うと、高学年で帰国した子の英語は低学年より保ちやすい傾向があり、中学入学までの手順を決めて続ければ、伸ばし続けることもできます。まずは全体像を押さえましょう。
高学年で帰国した子の英語は、低学年より保ちやすい傾向がある

高学年で帰国した子の英語は、低学年で帰国した子に比べて保ちやすい傾向があります。帰国子女の英語の変化を扱った東京大学の研究論文(友田,2007)を見てみましょう。
論文では、帰国時に9歳以上で、英語を保つレベルが高かった子は、動詞の使い方の正確さの低下がわずかにとどまったという研究が紹介されています。8歳以上で帰国し、海外で2年を超えて読み書きを身につけた子は、英語を母語とする子に近い話す力を保っていたという報告もあります。
読み書きの力が育っていることが、高学年の強みです。この強みを生かせるかどうかは、帰国後の過ごし方にかかっています。
低学年で帰国した子の英語が落ちやすい理由と保ち方は、こちらの記事で紹介しています。
▶︎低学年の帰国子女が英語を保持するには?忘れやすい理由と対策
それでも英語を使わない期間が続くと、力は少しずつ落ちていく

ただし、高学年で帰国すれば、英語が自然に残るわけではありません。先の研究で紹介されている子たちも、正確さの低下が「わずか」だったのであって、まったく変わらなかったわけではないのです。日本の学校に通い始めると、授業も友達との会話も日本語になり、英語を読む量や書く量は大きく減ります。
特に、学年相当の本を読む力や、まとまった文章を書く力は、使わない期間が続くと伸びが止まりやすいと考えておきましょう。保ちやすいからこそ、意識して英語を使い続けることが大切です。帰国直後から英語にふれる習慣をつくっておくと安心です。
中学入学までの手順は、帰国前後、小6まで、中学入学前の3段階で考える

中学入学までの英語の手順は、3つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。1つ目は帰国前から帰国直後で、英語力を測り、英語を続ける場を決める時期です。2つ目は帰国後から小6までで、英語で教科を学んで読み書きの力を伸ばし、3つ目の小6から中学入学前には、英検などで力を確かめ、中学の英語に備えます。
小5で帰国する場合は、中学入学までの約2年でこの3段階を進めるイメージです。小4や小6で帰国する場合も、残りの期間に合わせて同じ流れで進められます。それぞれの段階でやることは、このあとのステップで詳しく紹介します。
英検とアカデミックな英語は、どちらか一方ではなく役割を分けて伸ばす

高学年の帰国子女の保護者がよく迷うのが、英検とアカデミックな英語のどちらに力を入れるかです。結論から言うと、どちらか一方ではありません。役割を分けて伸ばすのがおすすめです。
アカデミックな英語は、英語で教科を学び、読んで考え、書いて伝える力で、英語力の土台になります。一方の英検は、その土台がどこまで育っているかを確かめ、中学以降の目標にする物差しとして使えます。
普段はアカデミックな英語を中心に学び、節目に英検で確かめる配分が、高学年には取り入れやすいでしょう。どちらかに偏ると、英語の力のどこかに抜けが出やすくなります。
高学年の英語保持を始める前に、知っておきたい前提と準備

手順に入る前に、高学年の帰国子女が通う学校の英語の状況と、子どもの英語の今を確かめておきましょう。小学校と中学校の英語の授業の違いや、英語の力の種類を知っておくと、家庭や外部の場で何を補えばよいかが見えてきます。
小学5・6年生の英語の授業は、年間70単位時間で内容は基礎的

帰国後に通う小学校では、5・6年生で教科としての英語の授業があります。文部科学省の「小学校学習指導要領(平成29年告示)」では、5・6年生の外国語の授業時数は年間70単位時間(1単位時間は45分)とされています。年間35週で考えると、週2回ほどです。
3年生から6年生までに扱う単語は600〜700語程度で、多くの子にとって英語を学び始めたばかりの段階に合わせた基礎的な内容です。現地校で学んできた子には物足りないことが多く、学校の授業だけで英語を伸ばすのは難しいと考えておきましょう。
中学では新しく学ぶ単語が増え、授業は英語で行うのが基本になる

中学に入ると、英語の授業は大きく変わります。「中学校学習指導要領(平成29年告示)」では、小学校で学んだ単語に加えて1,600〜1,800語程度の新しい単語を学ぶとされ、授業は英語で行うことを基本とすると示されています。
英語で話す力がある帰国子女にとって、英語で進む授業は強みを生かしやすい環境です。一方で、定期テストでは文法やスペルの正確さが問われるため、話す力だけでは点数につながりにくい場面もあります。中学の英語に備えるには、話す力に加えて、正確に読み書きする力を育てておくことが大切です。
日常会話の英語と、教科を学ぶ英語は別の力

英語の力は、日常会話の力と、教科を学ぶための力に分けて考えてみましょう。文部科学省の「外国人児童生徒受入れの手引」では、日本語を学ぶ子どもについて、日常的な会話をする「生活言語能力」と、教科の学習で情報を読み取り、考えた結果を伝える「学習言語能力」を分けて説明しています。
同じ手引では、学習言語能力は生活の中で身に付くことはあまり期待できないとされています。英語を学んできた帰国子女にも同じ考え方を当てはめることができ、アカデミックな英語はこの学習言語能力にあたるのです。
帰国子女がアカデミックな英語を伸ばす学び方は、こちらの記事でも紹介しています。
子どもの英語の今を確かめるチェックリストを用意する

手順を始める前に、子どもの英語の今を確かめるチェックリストを用意しておきましょう。確認したいのは、現地校で同じ学年の子が読む本を読めるか、英語で段落のある文章を書けるか、算数や理科の内容を英語で説明できるか、英語で自分の意見を理由とともに話せるかの4点です。
現地校の先生の評価や成績表があれば、あわせて見返すと分かりやすくなります。チェックの結果は、このあとの学び先選びや、英検などの目標づくりの土台です。チェックは一度で終わらせず、半年ごとに同じ項目で確かめると、英語を保てているかどうかの変化に気づきやすくなります。
【ステップ1】 帰国前から帰国直後に、英語力を測って続ける場を決める

最初のステップは、帰国前から帰国直後にかけて、英語力を測り、英語を続ける場を決めることです。帰国後は新しい学校生活で忙しくなるため、できるだけ帰国前に準備を進めておくと、英語にふれない空白の期間を短くできます。
帰国前に、英語力をCEFRなどの基準で測っておく

帰国前に、子どもの英語力をCEFRなどの国際的な基準で測っておきましょう。日本英語検定協会の「英検CSEスコアとは」によると、CEFRは外国語の熟達度をA1からC2までの6段階で示す枠組みで、英検の成績表にもCEFRのレベルが表示されます。
帰国前の時点のレベルが分かれば、帰国後にどのくらい保てているか、伸びているかを同じ物差しで比べられます。現地校の成績表は日本では伝わりにくいこともあるため、共通の基準で示しておくと学び先選びにも役立つでしょう。測った結果は、日付とともに記録しておいてください。
現地校の教科書や作文、読んでいた本を持ち帰る

帰国の荷物には、現地校の教科書やノート、子どもが書いた作文、読んでいた本を入れておきましょう。帰国後は、子どもの学年に合った英語の本や教材を日本で探すのに手間がかかることがあります。
読みかけのシリーズや授業で使っていた教材があれば、帰国後もそのまま続きを読んだり、学んだ内容を見返したりできます。子どもが書いた作文は、帰国時点の書く力を示す記録です。半年後や1年後に書いた文章と比べる材料にもなります。なお、持ち帰れる量に限りがあれば、電子書籍も候補に入れておくと安心です。
帰国後の1週間の予定に、英語の時間を先に組み込む

帰国後の1週間の予定を立てるときは、英語の時間を先に組み込んでおきましょう。日本の学校生活が始まると、宿題や習い事、友達との約束などで、予定はすぐに埋まっていきます。あとから英語の時間を足そうとしても、入る余地がなくなっていることは少なくありません。
「平日の夜に英語の本を読む」「週末に英語の日記を書く」「週に数回は英語のレッスンを受ける」など、曜日と時間を決めておくと続けやすくなります。英語の動画やニュースを英語のまま見る時間を入れるのもよいでしょう。予定表は家族で見える場所に貼り、子どもと一緒に決めると続きやすくなります。
帰国直後から英語を続ける学び先を、英語力に合わせて選ぶ

帰国直後から英語を続けられるよう、学び先も英語力に合わせて選んでおきましょう。高学年の帰国子女の場合、一般的な英会話教室や学年別の英語塾では、内容が易しすぎることがあります。
年齢や学年ではなく今の英語力でクラスを選べるか、英語で読んだり書いたりする時間があるか、教科の内容を英語で学べるかを確かめることが大切です。近くに合う場がない場合は、自宅から受けられるオンラインのスクールも選択肢に入ります。帰国前に体験や相談を済ませておくと、帰国後すぐに始められます。
Nisaiの「CEFR Englishコース」は、聞く・話す・読む・書くの4技能をCEFRに沿って伸ばすオンラインのコースです。受講前のアセスメントテストで英語力を測り、年齢や学年ではなくレベル別のクラスで学びます。
授業は週4回×30分のライブ授業が基本で、B1以上のレベルでは週2回×60分のクラスも選べます。オンラインのため、住んでいる地域との時差によっては帰国前から受講を始め、帰国後もそのまま続けることも可能です。
▶︎英語力に合わせて学べるCEFR Englishコースを見る
【ステップ2】 帰国後から小6までに、英語で教科を学んで読み書きを伸ばす

2つ目のステップは、帰国後から小6までの期間に、英語で教科を学び、読み書きの力を伸ばすことです。この時期に読む力と書く力を育てておくと、英語を保つだけでなく、中学の英語や英検にもつながります。
英語の本を読む習慣を、今の力に合ったレベルで続ける

帰国後も、英語の本を読む習慣を続けましょう。読む力は、英語の語彙や表現を増やす土台であり、高学年の英語を保つうえで中心になる力です。本は、今の英語力でほとんどの内容が分かるものを選ぶと、辞書を引きすぎずに楽しく読み進められます。
物語だけでなく、科学や歴史など教科に関わるノンフィクションも取り入れると、教科を学ぶ英語にもふれられます。読んだ本の題名を記録しておくと、子ども自身が続けてきた量を実感でき、次の本を選ぶ励みにもなるでしょう。保護者が読んだ本の話題を食卓で聞いてみると、子どもが内容を説明する練習にもなります。
英語の日記や感想文を書く練習を、週に数回取り入れる

書く力は、日本で暮らすうちに最も使う機会が減る力の一つです。英語の日記や本の感想文を、週に数回書く習慣を取り入れましょう。最初は数行でも構いません。高学年なら、理由や例を挙げて段落を分けて書くことを目指すと、教科を学ぶ英語の練習にもなります。
書いた文章は、保護者が直すよりも、英語の先生やレッスンで見てもらえると表現の幅が広がります。書きためた文章を数か月ごとに読み返せば、子どもも自分の成長に気づけるでしょう。テーマに迷う場合は、その日のニュースや読んだ本について自分の意見を書くなど、題材を決めておくと書き始めやすくなります。
算数や理科などの教科を、英語で学ぶ機会をつくる

アカデミックな英語を伸ばすには、算数や理科などの教科を英語で学ぶ機会をつくるのが効果的です。教科の学習では、説明を読み取り、考えた理由を英語で伝える場面が多く、生活の中では身につきにくい学習言語能力を使います。
現地校で使っていた教科書の続きを家庭で読み進めたり、英語で教科を学べるオンラインのスクールを利用したりする方法があります。日本の学校で習った算数の単元を英語の用語で言い換えてみるのも、家庭で取り入れやすい練習です。教科を英語で学んでおくと、中学で英語の授業が英語で進んだときにも、説明を聞いて理解する力が生きてきます。
Nisaiの「NS小学生向けコース」では、English・Maths・Science・ICTなどの教科を英語で学びます。NS1は、小学5〜6年生にあたる11〜12歳が主な対象です。入学前のアセスメントテストの結果をもとに、英語力に合ったクラスに入ります。
1科目から受講でき、授業は16時以降にも開講しているため、日本の小学校に通いながら受講する家庭もあります。月額は1科目22,000円です(2026年9月時点、税込)。最新の金額は「料金」のページで確認してください。
小学5年生(10歳)から受講し、2年近くでいろいろなタイプの文章を読み書きする力がつき、国語力も上がったと話すW.Rさんの受講者インタビューも参考にしてください。
同年代と英語で意見を話し合える場を確保する

英語で話す力を保つには、同年代と英語で意見を話し合える場を確保しましょう。高学年になると、日常会話だけでなく、自分の考えを理由とともに伝えたり、相手の意見に反論したりする力が求められるようになります。
こうした力を使い続ける場になるのが、帰国生向けのディスカッションのクラスや、英語で発表する機会のあるレッスンです。同じように海外で過ごした仲間がいる環境は、英語を話すことへの気後れを減らすことにもつながります。保護者との英語の会話だけでは、話題が日常に偏りやすい点にも注意しましょう。
【ステップ3】 小6から中学入学前に、英検で力を確かめて中学英語に備える

3つ目のステップは、小6から中学入学前にかけて、英検などで英語力を確かめ、中学の英語に備えることです。話す力に加えて、文法やスペルの正確さを整えておくと、中学の授業や定期テストに落ち着いて臨めます。
英検を受けて、今の英語力をCEFRで確かめる

小6の時期に英検を受けて、今の英語力を確かめておきましょう。先に紹介した英検協会の説明によると、英検の成績表には合否に加えて英検CSEスコアが表示され、技能別のスコアをもとにCEFRのレベルも示されます。帰国前に測ったCEFRのレベルと比べれば、帰国後に英語を保てているかを同じ物差しで確かめられます。
英検は中学以降の目標にもなりますが、級の合格そのものより、どの技能が強く、どの技能を補うべきかを知る材料として使いましょう。受験する級は、今の英語力で合格が見込める級か、少し挑戦が必要な級を選ぶとよいでしょう。
12歳から英語で教科を学ぶNS3を受講し、英検準1級やTOEFL Junior 840を取得したNeo Kagiさんの受講者インタビューも参考にしてください。
英検の級とCEFRのレベルの関係は、こちらの記事で紹介しています。
▶︎英検でCEFRレベルを上げるための実践的な英語力の身につけ方
中学で習う文法を、英語で知っている表現と結びつけて整理する

中学の英語に備えて、中学で習う文法を、英語で知っている表現と結びつけて整理しておきましょう。帰国子女は、文法の名前や仕組みを知らなくても、感覚で正しい英語を使えていることが多くあります。
たとえば、普段使っている「I have lived in London for three years.」が現在完了形だと知るだけで、定期テストの文法問題に答えやすくなります。中学の文法をまとめた薄い問題集を、1冊用意しましょう。知っている表現を確かめるように進めると、負担も少なく済みます。
スペルと文法の正確さを、短い英作文で見直す

話す力がある帰国子女でも、スペルや三単現のsなど、細かな正確さで点を落としてしまうことがあります。中学入学前に、短い英作文を書いて見直す練習をしておきましょう。1日に数文の英作文を書き、スペル、時制、冠詞などを自分で確かめる習慣をつけると、正確さを意識できるようになります。
間違えやすい単語や文法をノートにまとめておくと、中学の定期テスト前の見直しにも使えます。ただし、正確さを求めすぎて書く量が減らないよう、内容を伝えることも大切にしましょう。見直しの観点を決めておくと、自分で間違いに気づく力も育ちます。
帰国生入試を考えるなら、志望校の英語の出題形式を調べる

中学受験で帰国生入試を考えている場合は、志望校の英語の出題形式を早めに調べておきましょう。帰国生入試の英語は、エッセイを書かせる学校、長文の読解を重視する学校、面接で英語の会話力を見る学校など、学校によって形式が大きく異なります。英検などの資格の扱いや、国語や算数の試験があるかどうかも、学校ごとにさまざまです。
募集要項や過去の問題を確かめ、どの力に重点を置くかを決めておくと、英語の学びと受験の準備を両立しやすくなります。学校説明会に参加すると、英語の試験の内容や入学後の英語の授業について直接聞けることもあります。
中学入学後も英語を続けられるスケジュールを立てる

中学入学前に、入学後も英語を続けられるスケジュールを立てておきましょう。中学では部活動や定期テスト、塾などが加わり、小学生のころより自由に使える時間が少なくなります。英語の学びを週に何回、どの曜日に入れるかを先に決め、部活動の予定が分かった段階で調整するとよいでしょう。
英語の授業で得意を生かしつつ、学校の外でもアカデミックな英語を学び続ける場を持っておくと、中学以降も英語の力を伸ばしやすくなります。入学前の春休みに、1週間分の英語の予定を試しに組んでおくと、入学後も慌てずに済みます。
高学年の英語保持がうまくいかない時の原因と解決策

手順どおりに進めようとしても、途中でうまくいかなくなることがあります。ここでは、高学年の英語保持でつまずきやすい場面と、その原因と解決策を紹介します。家庭だけで解決が難しいときの相談先もあわせて確認しておきましょう。
学校の英語が簡単すぎて、英語への興味が下がってしまう

学校の英語の授業が簡単すぎて、英語への興味そのものが下がってしまうことがあります。原因は、学校の授業が子どもの英語力ではなく、学年に合わせた内容で進むこと。解決策は、学校の外に、今の英語力に合った難しさで学べる場を持つことです。
少し背伸びが必要な内容を学んでいる実感があると、学校の授業は復習の時間と割り切れるようになります。学校で学ぶ基礎的な表現も、正確さを見直す機会として生かせます。学校の先生に、英語で発表する役割などをお願いできないか相談してみるのも一つの方法です。
英検の対策ばかりになり、英語を読む量や書く量が減ってしまう

英検の合格を目標にしたとたん、過去問や単語帳が中心になり、英語の本を読む量や文章を書く量が減ってしまうことがあります。試験の対策は大切です。ただ、それだけでは教科を学ぶ英語や、まとまった文章を書く力は育ちにくくなります。
英検を受ける前の数か月は対策に時間を割き、それ以外の時期は読書や作文、教科の学習を中心にするなど、時期で配分を分けるのがおすすめです。級の合格だけを目的にしない姿勢を、親子で共有しておきましょう。英検の勉強で覚えた単語を読書や作文の中で使ってみると、試験のための知識が使える英語に変わっていきます。
中学受験や習い事と重なり、英語の時間が取れない

中学受験の勉強や習い事が増えると、英語の時間が取れなくなることがあります。すべてを同じ熱量で続けるのは難しいため、英語の時間を短くしてでも途切れさせない工夫が大切です。たとえば、受験勉強の合間に英語の本を少し読む、週に1回だけでも英語のレッスンを続けるなど、最低限の英語の時間を決めておきましょう。
いったん英語から完全に離れると、再開するまでの心理的なハードルも上がります。受験が終わったあとに英語の学びを戻す計画も、あらかじめ立てておくと安心です。受験の勉強と英語の時間の優先順位を、家族で話し合っておきましょう。
話す力はあるのに、文法や書く力が伸び悩む

英語で話すことはできるのに、文法問題や英作文で思うように点が取れないという悩みも、高学年の帰国子女によく見られます。話す力は会話の中で自然に使えても、正確に書く力は、意識して練習しないと伸びにくいためです。
ステップ2の日記や感想文、ステップ3の短い英作文のように、書いたものを見直す機会を定期的につくりましょう。英語の先生に添削してもらえる環境があると、自分では気づきにくい間違いにも気づけるようになります。文法の名前を覚えるより、自分の間違いの傾向を知ることを大切にしましょう。
家庭だけで続けるのが難しいときは、無料の英語力診断や専門家に相談する

家庭だけで英語の学びを続けるのが難しいと感じたら、無料の英語力診断や専門家への相談を活用しましょう。英語力の診断で今のレベルが分かれば、家庭で続けることと、外部の学び先に任せることを分けて考えやすくなります。
帰国子女の英語に詳しい専門家に相談すると、中学入学までの学び方や、英検とアカデミックな英語の配分を、子どもの状況に合わせて一緒に考えてもらえます。オンラインで相談できる窓口を選べば、帰国前から準備を進められるでしょう。相談の前に、チェックリストの結果や英検などの成績をまとめておくと話がスムーズです。
Nisaiでは、CEFRで英語力を測る無料オンライン英語力診断「アセスメントテスト」と、60分の個別相談(無料)を受けられます。どちらもオンラインのため、帰国前の海外からも申し込みが可能です。申し込み方法は、記事の最後で紹介しています。
【まとめ】 高学年の帰国子女の英語は、中学入学までの手順を決めて伸ばし続ける

高学年で帰国した子の英語は、読み書きの力が育っている分、低学年より保ちやすい傾向があります。ただし、使わない期間が続けば少しずつ落ちていきます。
中学入学までは、3つのステップで進めましょう。帰国前から帰国直後に英語力を測って続ける場を決め、帰国後から小6までに英語で教科を学んで読み書きを伸ばし、小6から中学入学前に英検で力を確かめて中学英語に備えます。
英検とアカデミックな英語は役割を分け、普段はアカデミックな英語を中心に、節目に英検で確かめる配分が取り入れやすい方法です。英語を保つ時期は、英語を伸ばす時期でもあります。まずは子どもの今の英語力を確かめるところから始めてみてください。
中学入学までの英語の学び方に迷ったら、まず今の英語力を無料で確かめてみませんか?
高学年の帰国子女の英語は、帰国前後に今のレベルを知っておくと、中学入学までの手順を立てやすくなります。
Nisaiの無料オンライン英語力診断「アセスメントテスト」は、CEFRという国際基準でお子さまの英語力を測るテストです。結果はテスト後すぐに確認できます。帰国前の海外からでも受けられるため、日本に戻る前に、英語を続ける学び先のレベルを確かめておけます。
中学入学までの学び方や、英検とアカデミックな英語の配分を個別に相談したい方は 「個別相談(60分・無料)」
出典
本記事で紹介した研究や制度は、次の資料に基づいています。
- 友田路「外国語保持教室における低学年帰国子女の第二言語喪失:動詞句TLU値分析と退行仮説の観点から」『言語情報科学』第5号(2007年3月)pp.147-164
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」「中学校学習指導要領(平成29年告示)」
- 文部科学省「外国人児童生徒受入れの手引【改訂版】」(2019年3月)
- 公益財団法人 日本英語検定協会「英検CSEスコアとは」
| 本記事で示した内容 | 該当ページ |
| 帰国時に9歳以上で英語を保つレベルが高かった子は、動詞の使い方の正確さの低下がわずかだった(論文中で紹介された研究) | 友田(2007)p.150 |
| 8歳以上で帰国し、海外で2年を超えて読み書きを身につけた子は、英語を母語とする子に近い話す力を保っていた(論文中で紹介された研究) | 友田(2007)p.148 |
| 小学5・6年生の外国語の授業時数は年間70単位時間(1単位時間は45分) | 小学校学習指導要領 p.12(学校教育法施行規則 別表第一) |
| 小学校3年生から6年生までに扱う単語は600〜700語程度 | 小学校学習指導要領 p.158 |
| 中学校では、小学校で学んだ単語に1,600〜1,800語程度の新しい単語を加える | 中学校学習指導要領 p.146 |
| 中学校の英語の授業は英語で行うことを基本とする | 中学校学習指導要領 p.151 |
| 生活言語能力と学習言語能力の違い、学習言語能力は生活の中で身に付くことはあまり期待できない | 外国人児童生徒受入れの手引 第3章 p.25 |
| CEFRはA1からC2までの6段階、英検の成績表に英検CSEスコアとCEFRのレベルが表示される | 英検CSEスコアとは |
よくある質問(FAQ)
-
小5で帰国すると、中学入学までにどのくらいの英語力を目指せばいいですか?
-
決まった目安はありません。ただ、帰国時の英語力を保つことを最低限とし、そのうえでCEFRで1つ上のレベルを目指すと、目標を立てやすくなります。まずは帰国前に英語力を測り、小6の時期に英検などで確かめて、伸びているかを同じ物差しで比べましょう。中学入学までの約2年は、3つのステップに分けて進めるとよいでしょう。
-
高学年の帰国子女は、英検とアカデミックな英語のどちらに力を入れるべきですか?
-
どちらか一方ではなく、役割を分けて伸ばすのがおすすめです。アカデミックな英語は、教科を英語で学び、読んで考え、書いて伝える力で、英語力の土台になります。英検は、その土台がどこまで育ったかを確かめる物差しとして節目に受けると活用しやすいでしょう。普段の学びは、アカデミックな英語を中心にするのが基本です。
-
英語の学びには、週にどのくらいの時間をかければいいですか?
-
何時間あれば十分という決まった目安はありません。英語の本を読む時間を毎日少しずつ取り、週に数回は英語で書いたり話したりする時間を持てると、4技能をバランスよく保ちやすくなります。帰国後は予定が埋まりやすいため、曜日と時間を先に決めて、英語の時間を生活に組み込んでおきましょう。
-
中学受験をする場合も、英語の学びは続けたほうがいいですか?
-
中学受験をする場合も、英語の学びは短い時間でも続けるのがおすすめです。いったん英語から完全に離れると、受験後に再開するときの負担が大きくなります。受験期は英語の本を読む時間を短くするなど量を調整し、帰国生入試を考えるなら、志望校の英語の出題形式も早めに確かめておきましょう。
-
高学年で帰国した子でも、英語を忘れてしまうことはありますか?
-
高学年で帰国した子でも、英語を使わない期間が続けば、英語の力は少しずつ落ちていきます。研究では、9歳以上で帰国し、英語を保つレベルが高かった子は英語の正確さの低下がわずかだったと報告されていますが、変化がなかったわけではありません。読む、書く、話す機会を意識して続けることが大切です。
